【50代の趣味探し】編み物教室に通って見つけた“私のハレの日”

天涯孤独
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最近、自分の“好きなこと”はできていますか?

私の趣味は「かぎ針編み」です。

ちび
ちび

幼い頃に祖母に教わって以来、何十年も針を持っていませんでしたが、あるきっかけから久しぶりに再開し、気づけば教室に通うほど夢中になりました。

このブログでは、編み物を始めた意外な理由や、祖母の記憶を通して“好き”を思い出していった過程を書いています。

この記事を読むと

・50代から新しい楽しみを見つける勇気が持てます
・日々の中に、自分らしい豊かさを取り戻すヒントが見つかります

 “私のためだけの時間”はどこに置き忘れてしまったんだろう。

そんなふうに感じているあなたへ。

日常の中に小さな「ハレの日」を見つける、その一歩となれば嬉しいです。

きっかけはメルカリで売るものがなくなったこと 

メルカリが教えてくれた作る楽しさ

手放すことで、次の楽しみが見えてきた。

久しぶりに編み物をやってみようと思ったきっかけはメルカリでした。

メルカリは素晴らしいプラットフォームです。

自分が使わなくなった物が、必要としてくれる誰かの手に渡る

ちび
ちび

捨てる罪悪感をなくしてくれるだけでなく、売れたポイントで自分へのご褒美を買ったりして楽しんでいます。

私はなるべく物を持たない暮らしをしています。

3年前のリフォームを機に持ち物の9割を手放しました。

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最低限の物で暮らしているので我が家には使わない物がありません。

最近売るものがなくなってきたなと感じていたとき、手編み作品を販売している方を見つけました。

メルカリは不用品を売るだけの場所ではなかったのです。

シュシュやコースター等の小物からバッグまで。

目移りするくらい、オリジナリティ溢れる作品が並んでいます。

裁縫は苦手だけど、編み物なら幼い頃に祖母から教わったことがありました。

「これなら私にもできるかもしれない」

そう思った瞬間、胸が弾みました。

思い出した”好き”と未来の自分

―もう一度、あの頃の“好き”に会いにいく。

上達すれば、私の作品を買ってくれる人がいるかもしれない。

しかも編み物なら、おばあちゃんになっても続けられます。

老後のお小遣い稼ぎにもなるし、最高の趣味ではないかと思ったのです。

とはいっても、何年もかぎ針を手にしていません。

まずは基本を思い出そうと、本屋さんで初心者向けのかぎ針編みの本を購入しました。

ちび
ちび

かぎ針編みの基本のきである、くさり編み・細編み・長編みの編み方から、少し難しいモチーフ編みまで写真付きで丁寧に解説されています。



練習しながら小物が完成していく構成なので、作品が仕上がる喜びも味わえるのが嬉しいところ。

開いたページが自然とキープされる作りになっていて、本が勝手閉じてしまうストレスもありません。

購入したのはこちら

その足で100円ショップへ立ち寄り、糸とかぎ針を購入。

新しい糸を手に、ちょっとワクワクしながら家路につきました。

お母さん代わりの祖母が教えてくれた編み物

ばばさんとの暮らし

―きびしいけど優しい人。

編み物が得意だった祖母にかぎ針の持ち方を教わったのは私が小学2年生の時でした。

3歳の時に両親が離婚して、我が家は母と祖母との3人暮らし。

母が働きに出ている間、私の面倒を見てほしいと頼まれて、務めていた会社を辞めたと大人になってから知りました。

私は祖母をばばさんと呼んでいました。

まだ40代だった祖母がおばあちゃんと呼ばれるのを嫌がったからです。

ちび
ちび

「バーバ」はどうかと提案したら、彼女いわく「ババー」と聞こえると言う事で、ばばさんと呼ぶことに落ち着いたのださそうです。

我が家では母が父親で、ばばさんが母親。

食事をするのも銭湯に連れて行ってくれるのもばばさんでした。

「おばあちゃん」というと優しくて欲しいものはなんでも買ってくれるイメージですが、ばばさんは違いました。

しつけに厳しくて、特に勉強に関しては宿題を済ませてからでないと遊びにもいけません。

ある日、漢字を50回ずつ書くという気の遠くなるような宿題がでた時のことです。

眠くて鉛筆を持つ手に力が入らなくなった私を見て、ばばさんはそっと右手を包むように握って手伝ってくれました。

少し骨ばった温かい手の感触は、今でも覚えています。

赤い糸と幼い私

―プロ級の腕前を持っていたばばさん。

思い出してみると、ばばさんはいつも編み物をしていました。

冬はこたつで、夏は窓から入る風にあたりながら。

その背後ではラジオから聞こえてくる落語やニュースが静かなBGMのように流れていました。

作る作品は小物にとどまらず、私の普段着からドレスまで作ってしまう程の技術の持ち主です。

本を参考にするより、編みたい物を自由に編むスタイル

編みやすいからとばばさんが選んでくれた赤い並太の毛糸で私はマフラーを編み始めました。

慣れない手つきで目に針を通し、1段編んでは手を止めて眺め、また1段編んでは眺める。

そんな繰り返しなので、いつまでたってもマフラーどころか腹巻きほどの長さにも届きません。

終わりが見えない単調な作業に飽きるのは時間の問題でした。

ちび
ちび

結局マフラーは完成することなく赤い毛糸は、ばばさんの手でこたつ布団カバーの一部になりました。

私が編み物教室に通うことを決めた理由

オリジナルを作るという壁

―自分だけの形を見つけたくて。

あれから50年。

57歳の私は、編み物教室に通うことにしました。

誰かの真似ではなくて、自分の好きなデザインで作品を作りあげたかったからです。

今はYouTubeで初心者向けの動画が豊富に見られる便利な時代です。

動画を一時停止して、針をどこに入れるのかゆっくり確認することもできます。

50年振りにかぎ針を持つ私でも、3時間ほどでシュシュが完成しました。

我ながらなかなかの出来栄えです。

ちび
ちび

これならすぐにメルカリで販売できるような作品を作るのも夢ではないと思ったのですが、実はそう簡単ではないことがわかりました。

ハンドメイド作品を販売するには、オリジナルでなくてはいけません。

本や動画で紹介されている物を作ってそのまま売ると著作権に影響するからです。

努力なくして成功なし。

考えてみれば当たり前です。

誰かが時間をかけて築いた技術を、そっと拝借してお金にしようなんて図々しいにもほどがあります。

自分の甘さに気づいて思わず苦笑いしました。

稼ぎたいより極めたい

―夢中になれる時間が、いちばんのごほうび。

このことを知って、幼い頃に途中で編み物を投げ出してしまった事を後悔しました。

あのまま祖母を師匠として続けていれば、かなりの腕前になっていたことでしょう。

世界に一つだけの作品なんかも作れるようになって、編み物作家さんなんて呼ばれていたかもしれません。

自宅で教室を開いて、誰かに編み物の楽しさをを伝えていた可能性だってあります。

そんな想像を膨らませる程、私は編み物の魅力にどっぷりとハマってしまいました。

幼い頃には退屈なだけの作業が、今では飽きることがなく何時間でも続けていられます。

少しづつでも成果物となって形になっていく過程も嬉しくて、手が止まりません。

ちび
ちび

大人になってから、こんなに夢中になれることに出会えるとは思いませんでした。

自分がどこまで極められるか試してみたい。

もはや販売目的よりも、物作り魂のほうが強くなっていました。

そうして私は編物教室の門を叩くことにしたのです。

雑司ヶ谷で見つけた、私の”ハレ”の日

鬼子母神のおひざ元「牧野学院」

―懐かしい場所で新しい自分に出会う。

私はインターネットで調べて雑司が谷にある「牧野学院」の短期講座を申し込みました。

牧野学院は創立50年を迎える伝統ある編み物教室です。

初心者向けの基礎講座から、資格取得をめざす専門コースまで幅広く展開し、良心的な受講料と、ていねいな指導で 長年多くの受講生に選ばれてきました

編物教室 牧野学院

入会金無し、全4回コースで8,000円。

曜日は日曜・祝日以外の好きな曜日が選べて、6ヶ月以内に終了することが条件です。

「作品を必ず仕上げること」が目標とされているこの講座では帽子やマフラーが作れます。

雑司ヶ谷は生前の母と一緒に鬼子母神を訪れて以来、実に20年振りのこと。

参道には小さなカフェや対面の八百屋さんが並び、池袋がすぐ近くとは思えないほど趣のある街です。

母と歩いたこの道を今日は1人で歩きます。

教室に入ると、5つある4人がけの作業台には6名ほどの会員さんがそれぞれの作品づくりに夢中です。

ちび
ちび

完成したセーターを試着している方もいて、編み物を愛する人だけの空間に居心地の良さを感じました。

夏の始まり、糸玉のときめき

―はじめての作品は、夏色のトート。

「何か編みたいものはある?」

講師のT先生は、若い頃のばばさんに雰囲気が似ていて、時間が少し巻き戻ったような感覚になりました。

「サマーバッグを編みたいんです。4回で完成するでしょうか」

季節はもうすぐ夏。

電車の中で素敵なカゴバッグを持っていた女性を思い出したのです。

「編み物経験者だし大丈夫。完成できなければレッスン追加もできるから」

そう言いながら、手際よく教室にあるサンプルと本を私に見せてくれました。

第一作目に選んだのはエコアンダリヤという夏用の糸で編むベージュのトートバック。

シンプルなデザインに一目惚れ。

出来上がりを想像して、編み始めてもいないのに興奮が止まりません。

こちらでは材料の糸を教室で購入するシステム。

在庫がない場合は注文して、編み始めるのは糸が届いてからになります。

探してもらうと幸いにもに在庫があるとのこと。

持参したかぎ針の号数も丁度よく、早速その日からレッスンを始めることになりました。

なりたい自分が見えてきた

―憧れは、静かに背中を押してくれる。

エコアンダリヤは普通の糸より固めで少しクセのある糸です。

ちび
ちび

慣れているはずの鎖編みに時間がかかり、経験者と伝えたことが恥ずかしくなりました。

「緊張していると手の汗で編みづらいのよ」

T先生がやさしく声をかけてくれました。

「慌てなくても大丈夫。ゆっくり進めていきましょう」

穏やかな視線に、肩の力がすっと抜けていきます。

数人いる先生の中でも、T先生がベテランであることはすぐにわかりました。

作業台を回りながら、生徒さんの質問に明るく丁寧に答えていきます。

編み物を極めた貫禄と、好きなことを仕事にしている姿。

その両方に憧れずにはいられませんでした。

「将来、私もこんなふうになれたら」

T先生に出会ったことで、ぼんやりとした理想が少し輪郭を帯びてきた気がします。

その後、なんとか追加レッスンをせずに4回の体験を終え正式に入会しました。

コースは、月4回・平日2時間。

自分の編みたいものを自由に編めるクラスです。

最初の作品だったサマーバッグが完成したのは、秋風が吹き始めた10月。

ちび
ちび

夏は終わってしまいましたが毛糸玉を入れるカゴとして、いつもそばに置いています。

私の”ハレ”の日

―“楽しむ”ことを自分に許したら、人生は少しやさしくなる。

「ハレとケ」という言葉をご存知ですか?

”ケ”は日常、”ハレ”は非日常。

昔からある日本の考え方です。

人生“ハレ”だけでもつまらないものです。

バランスが大事で、”ケ”があるから”ハレ”が特別なんです。

ちび
ちび

編み物教室に通う日は、私の”ハレ”の日になりました。

仕事の日は「こなす」時間。

家では「整える」時間。

そのどちらでもない、ただ純粋に「楽しむ」ためだけの時間

大人になって、こういう時間を持てることの幸せをしみじみ感じています。

編み物を始めたきっかけは「売れる物」を作ることでした。

今は子供のように、ただ楽しいから続けています。

小さな“好き”を続けていくと、暮らしには必ず色がつきます。

誰かのためでもなく、誰の許可もいりません。

もっと自分の”したい”に素直になってもいいんです。

そう考えると人生はずっと自由で、やさしいものなのかもしれません。

まずはひとつ。

心が動いた“好き”を始めてみませんか?

もしかしたらそれが、新しい始まりの合図なのかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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