上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』を読んで~ひとりの最後も悪くない~

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今回ご紹介するのは上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』です。

この本は将来ひとりで最期を迎えるかもしれない私たちの不安をやわらげてくれる一冊です。

著者自身も独身であり、在宅ひとり死を実践したいと考えている立場から、具体的な準備や考え方を提案しています。

「在宅ひとり死って、結局孤独死のことでしょ?」

タイトルを見てそう思った方もいるかもしれません。

暗くてみじめなイメージの「孤独死」。

著者が命名した「在宅ひとり死」という言葉には

ひとりで死ぬこと=不幸ではない

という熱いメッセージが込められています。

この本を読んでいただきたい方

  • 最後の時に側にいてくれる人がいない方
  • 認知症になっても面倒をみてくれる人がいない方

この記事では『在宅ひとり死のススメ』の概要と、特に印象に残った3点についてお伝えします。

『在宅ひとり死のススメ』概要

わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。現在72歳。
このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、ひとり静かに死んで。
ある日、亡くなっているのを発見されたら、それを『孤独死』とは、呼ばれたくない。
それが本書の執筆動機です

上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』

お家が大好きという上野千鶴子さんは、ひとりでも自宅で幸福な死をむかえることができると言います。

その理由を様々な参考文献や統計データにもとづいてわかりやすく紹介されています。

天涯孤独の私は施設にでも入らない限り、死ぬ時はひとりです。

想像するだけで未来の自分が可哀想になるので考えないようにしてきました。

大切なのはどう死ぬかではなく、どう準備するか。

私はこの本を読みすすめるうちに、まるで複雑な数学の問題が解けたときのような気持ちになっていきました。

特に印象に残った3点

1.老後はおひとりさまが一番幸せ

データによると高齢者の生活満足度は夫婦二人暮らしよりおひとり様の方が高いのだそうです。

生活満足度とは自分が今の生活にどれだけ満足しているかを表す指標です。

経済面だけでなく家庭、健康、社会的交流などに満足していることが多いほど、生活満足度が高くなります。

特に印象的だったのは、夫に比べると妻の方が満足度が低いと言う事。

言われてみれば定年退職した夫が一日中家にいるのがストレスだという話をよく耳にします。

家事のすべてを妻に任せて、自分ひとりじゃ何もできない。

食事はしっかり3回食べるくせに、美味しいの一言もない。

感謝の言葉ひとつかけてくれない夫と我慢しながら暮らすより、ひとりの方がずっと幸せだということなのでしょう。

2.孤独死を不安がることはない

孤独死はお年寄りだけの問題だと思っていませんか?

実は孤独死が最も多いのは50代・60代の男性で全体の約8割を超えます。

まだまだ現役世代の孤独死率が高い要因の一つにこの年代の自殺率の高さがあります。

自殺の原因は健康問題・経済的な問題・人間関係と様々です。

孤独死の原因は中高年齢の男性が社会的に孤立してしまっていること。

女性は男性に比べて交流の輪を広げやすい傾向にあります。

古くからの友人だけでなくご近所や趣味を通じて、自分の存在を認識してもらう場を持っているのです。

日常からそのような交流があれば

「最近、〇〇さん見ないわね」

となっても、電話やメールをくれたり場合によっては自宅へ安否確認にきてもらえるかもしれません。

一方で仕事中心の生活が長い男性は、会社以外の交際範囲が狭くなりがちです。

その結果

ひとりで自宅で亡くなっても発見してもらえない=孤独死

となってしまうのです。

人は年を取るにつれて体と心が少しずつ弱くなっていきます。

そうなったら介護保険のお世話になればよいのです。

要介護認定を受ければ、ケアマネがつき、訪問介護が入り、デイサービスのお迎えが来る。

週に2回でもひとの出入りがあれば、「1週間以上経過して発見される」という事態は避けられます。

天涯孤独であっても「孤立」さえしていなければ、孤独死を不安がることはないのです。

上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』

3.認知症になっても施設に入る必要はない

「孤独死」以上に不安なことに「認知症」があげられます。

世間には認知症の恐ろしさばかりを強調する情報が多く流れています。

でも実際には認知症になってしまった本人は不便であっても不幸ではないのだそうです。

少し手を貸してくれれば、ほとんどのことは自分でできるのだと。

持ち家があるのにわざわざお金を出して施設に入る必要はない。

その分を自費負担サービスへ充てればよい。

本書の中で著者はそう主張しています。

特にひとりが好きだからデイサービスにも行きたくないという意見には、思わず共感してしまいました。

そもそも施設は認知症になった本人ではなく家族のためにあるものです。

学校や仕事で外出している間、認知症の家族をひとりきりで家に残すのは心配です。

我が家も同居の祖母が認知症になり施設のお世話になりました。

母子家庭で大黒柱の母と学生だった私では十分な面倒をみることができなかったからです。

本当は祖母も施設になんか入りたくなかったのだと思います。

面倒なんかみてもらえなくても心配ないのにと。

そう考えたら私はこの先も大好きな自宅で暮らし続けていきたいと強く思いました。

そして最後も自宅で迎えたいと願っています。

実は看取りの費用も自宅が一番かからないことがわかりました。

80代の方の自己負担額は死の直前3カ月で月額7万~8万円。自費での夜間ヘルパー代を入れての額だ。看取(みと)りのコストは病院が最も高く、次に施設。在宅が一番安いというから驚く。
「家で死ぬ」なんて、よほどのお金持ちか孤立の果ての孤独死くらいだと思ってたけど、実は違うのだ。

上野千鶴子著『在宅ひとり死のススメ』

認知症はだれでもなる可能性があります。

私だってかなりの確率でそうなることを覚悟しています。

でも天涯孤独の私は家族に無理やり施設にいれられてしまうことはありません。

いつそうなっても良いように備えておけばよいのです。

判断能力が弱くなった時のためには成年後見人。

死んだあとの手続きは死後事務委任。

まだまだ先だとのんびりしていましたが、早すぎることはないのです。

「在宅ひとり死のススメ」を読んで。まとめ

今ひとりでも、そうでなくても最後はみんなおひとり様。

「在宅ひとり死のススメ」は、ひとりで老後を向かえる方に勇気を与えてくれる本です。

病院や施設ではなく、自分の家で静かに人生を終えても良いのだと教えてくれました。

「自分がどうしたいか」を決めて将来に備えることが大切なのだと。

もちろん、ひとりの老後に対する不安がゼロになったわけではありません。

でも本を読み終えた今は

「ひとりの最後も悪くないな」

そう考える余裕がでてきたのも事実です。

ひとりで生きること、そして最期を迎えることに漠然とした不安を感じているあなたへ、おすすめの1冊です。

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