【天涯孤独の命日ランチ】いちのやアトレ川越店で過ごす特別な時間

天涯孤独
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10年目の命日

4月10日はママの命日。

天涯孤独になり、ひとりぼっちでお墓参りをするようになってから早いもので10年です。

お墓近くには黒目川が流れ、見頃を迎えた桜が毎年違った表情を見せてくれました。

お墓には祖母も眠っていて、月に一度は二人に会いにきています。

と言っても、ママと祖母の写真に”行ってきます”と声をかけて家を出てくるのだから変な感じです。

以前の私といえば、お墓参りは月命日・祥月命日の当日に行かなくはいけないと思い込んでいました。

ちび
ちび

今は天気の良い日に行くと決めています。

一度朝から大雨で、真冬のように寒い日が祥月命日にあたった事がありました。

ひとりでは傘を片手にお墓を拭き上げることも、線香をつけることもできません。

お花をあげて手を合わせるには傘を置くしかないのです。

この日以来、雨の日のお墓参りはやめることにしました。

“私しか行ってあげられないんだから”

義務のような気持ちで来られても2人は喜んでくれません。

お墓参りは2人に会いに行く大切な日。

笑って「来たよ〜」と声をかけたい。

“今年は晴れるかな”

祈る気持ちで迎えた当日は絶好のお墓参り日和。

暖かいを通り越して少し汗ばむ程。

お決まりのスパークリングワインをお供えして手を合わせる。

墓前に立つといつもそこだけが異空間になります。

ちび
ちび

冬も夏も風の強い日も、一瞬だけ空気が穏やかになるのだから不思議です。

まるで二人が両手で包み込んでくれているよう。

“なんとか頑張っているから見守っていてね“

絶品 ”いちのや”の白焼き

私は祥月命日や月命日を”特別な日”と呼んで少しだけ贅沢に過ごしています。

10年目の今年は川越に鰻を食べに行こうと決めていました。

川越が鰻の街と知ったのはママが亡くなったあと。

知っていれば鰻好きだった彼女の誕生日や母の日のイベントは間違えなく”川越で鰻”だったでしょう。

むかったのは「いちのやアトレ川越店」

いちのやは天保三年創業の老舗の鰻屋さんです。

本店はいつも行列ができることでも有名。

アトレ川越店は比較的空いていてひとりでも入りやすいという口コミが決め手になりました。

お店に到着したのは13時。

口コミどおり、予約なしでも待つことなく入ることができました。

「お好きな席にどうぞ」

モダンな雰囲気の店内にはカウンター・二人席・お座敷席。

「1名なんですがお座敷でも良いですか?」

思い切って尋ねてみました。

今日はママと向き合うように食事をしたかったからです。

「大丈夫ですよ」

店員さんは気持ちよく席へと案内してくれました。

早速メニューを開きます。

今日のお目当ては白焼き

日本酒でゆっくり堪能するつもりでした。

鰻巻きも食べたいけど、ひとりでは食べきれないので我慢。

“白焼きの単品”と”生ハムサラダ”を注文することにしました。

すぐに一緒に頼んだビールが到着。

「生ビールを飲みたいけど中ジョッキでは飲み切れないし」

と思っていた時に目に入ったのが”一口生ビール ”

小さめのグラスが、少しだけシュワッとしたい私に丁度良いサイズ。

姿なきママと乾杯。

平日の昼間のビールは最高です。

続いてサラダが運ばれてきました。

生ハムもたっぷり入っていて、想像以上のボリューム。

サラダのドレッシングは青じそ、胡麻、シーザーの3種類から選べます。

私は胡麻をチョイス。

10分程して待望の白焼きが到着。

途中加工された鰻を仕上げ焼きして出てくるので驚く程早い。

気が短くて、待つのが嫌いな私にはピッタリです。

蓋をあけると多めのわさびが添えられて美しい白焼きが鎮座。

まずはわさび醤油で一口。

“美味しい”

少しだけ焦げ目がついてふっくらした身は上品で程よい脂が乗っています。

これが日本酒とあわない筈がない。

店員さんを呼んで“八海山大吟醸(銀ラベル)の冷酒”を追加注文しました。

お猪口に入れて再びママと乾杯。

華やかな香りが口いっぱいに広がります。

思わず小躍りしてしまいそう。

美味しいものを”美味しい”と思える。

当たり前のことに、このうえない幸せを感じます。

気がつくとお座敷の客は私だけになっていました。

アトレ川越店は昼休憩が無く開店から閉店まで通しで営業しています。

カウンターには、まだ2名程が遅めの昼食をとっています。

宴もいよいよ終盤戦。

白焼きの残りはお塩でいただく事にしました。

私は刺身も冷奴も塩で食べるほど部類の塩好き。

「どちらからいらっしゃたの?」

お塩をお願いすると、感じの良い店員さんに声をかけられました。

ちび
ちび

志木からです。美味しい白焼きと日本酒をいただきたくて

どうぞごゆっくりと言って笑顔で新しいおしぼりも一緒に出してくれる。

こういった心遣いがあるお店も随分と少なくなりました。

塩とわさびでいただく白焼きは、わさび醤油とは全くちがう味わい。

シンプルであるがゆえ旨味を更に強く感じます。

商業施設の中とは思えないほど静かな空間で贅沢な時間がゆっくり過ぎていきます。

時計を見ると14時30分をまわったところ。

「ごちそうさまでした」

日本酒を飲み干して目の端を赤くしながらお店を出ました。

又きたくなる街”川越”

酔い覚ましに川越散策をする事にしました。

通りに出ると予想通り、外国人観光客と着物を着た若いカップルで溢れています。

そんな人々を眺めながら小江戸情緒溢れる街をのんびり歩く。

ほどなく「時の鐘」が見えてきました。

圧倒的な存在感を放つ川越のシンボルです。

高さ16メートルの塔は「残したい日本の音風景100選」にも選ばれ、埼玉県民としては実に誇らしい。

一日4回、6時・12時・15時・18時に鐘が鳴ります。

まもなく15時になる事もあり、時の鐘のおひざ元では誰もが塔を見上げて写真を撮っている。

当然私も1枚。

近いのに小旅行気分が味わえる川越

しばらくすると又来たくなる。

次はどこのお店に行ってみようかな。

来年も一緒に命日ランチ

スターバックスコーヒー 川越鐘つき通り店

今年の命日ランチは「いちのやアトレ川越店」で白焼きを堪能してきました。

久しぶりの鰻にママも喜んでくれたことでしょう。

私は祥月命日に限らず、私は365日ママの事を思い出さない日はありません。

自宅の写真に向かって話しかけ、事あるごとに心の中の彼女に相談をしています。

ちび
ちび

命日は故人を偲ぶ日と言いますが、私にとっては息を引き取る瞬間やそれまでの出来事が鮮明に浮かんでくる辛い日でもありました

10年という年月が私を強くし、このままではいけないと気づかせてくれました。

これからも泣きたくなる事が何度もあるでしょう。

そんな時は素直に泣いて、すっきりしたら又笑えばいい。

ママの分もいろんな経験をして美味しいものも食べよう。

そして「こんなに頑張ったんだよ」とあの世で報告しよう。

ミッションができたらなんだかワクワクしてきました。

天涯孤独の命日ランチ。

来年もママと一緒に。

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