大切な家族を亡くして天涯孤独となった一人っ子の10年後はどうなっているのでしょうか?
母の死を乗り越え、一人で生き抜くためには何が必要だったのでしょうか?
一人っ子で独身の私は40代の時に最愛の母を亡くして天涯孤独となりました。
どん底の悲しみから、もがきながらの10年。
今の私は苦しさを乗り越え、強くそして前向きに生きています。
天涯孤独になって泣いてばかりの一人っ子が、どんな10年を過ごしてきたのか。
この記事は私の実体験を綴ったものです。
同じように苦しんでいる方々へ少しでも励ましとなり、未来への希望を見つけていただけたら幸いです。
天涯孤独の直後。苦しくなった時にした事
ヤフー知恵袋で天涯孤独の人を探した
天涯孤独の不安や悩みを抱える人をヤフー知恵袋で探しました。
まわりには同じ境遇の人もいないし、この先どうやって生きていけばよいのかわからなくなったからです。
同じ趣味をもつ仲間を探すようにグーグルで”天涯孤独・一人っ子”と検索すると、ヤフー知恵袋に私と同じ悩みを持つ方がいらっしゃいました。
「自分だけではないんだ」
悩みを読んでいると他人事とは思えず、涙が止まらなくなりました。
目に見えない相手なのに、同士に出会えたような気持ちで安心したのを覚えています。
毎日会社へ出勤して遅くまで残業をした
忌引き明けは休まず会社へ出勤しました。
何かしていないと、一瞬で気持ちが落ち込むからです。
人事異動で勤務地が変わる事が決まっていたのですが、母の入院と葬儀が重なって、新しい部署へはほとんど出社できていませんでした。
全く知り合いがいない職場に配属され、新しい仕事を夢中で覚える毎日。
仕事中は干渉する人もなく、忙しさで辛さを忘れる事ができるのがありがたかったです。
一匹で留守番をする猫のハナには申し訳なかったのですが、母のいない家に帰りたくなくて毎日遅くまで残業していました。
家の外へ出るようにした
家の中に一人でいると、不安で気分が落ち込み昼間から涙が止まらなくなりました。
そんな時は一旦家の外に出るようにしました。
ドアを開けて玄関の外に行くだけでも少しだけ気持ちが落ち着きました。
この頃の私には、通勤電車が居心地の良い空間でした。
人はいるけど個人の集まり。
この空間が一人ではないという気持ちにしてくれたからです。
同様の意味でジムもお勧めです。
運動している間は辛さを忘れる事ができるし、ここも又個人の集まりだからです。
休日はほとんどの時間をジムで過ごしていました。
逆に避けていたのは家族づれが多い近所のスーパーです。
店内の音楽を聞くだけで母と一緒に買い物をしていたシーンが鮮明に浮かんでくるのです。
同世代の親子を見ると、羨ましくて居たたまれない気持ちになりました。
辛いのでネットスーパーを利用することにして、店へ行くのをやめました。
部屋の模様替えをした
部屋の模様替えをしました。
ふとした瞬間に母との暮らしを思い出して苦しくなるからです。
本当は全く違う場所へ引越したかったのですが、高齢猫を飼っていた為できませんでした。
家の中は、いたるところに母の面影が残っています。
一人の生活スペースは限られていて、だいたい同じ場所で過ごすようになりました。
手始めにリビングを締めている、ダイニングテーブルと椅子を処分。
窓際の一番明るい場所に母の写真を飾り、その正面に食事スペースを作りました。
”いただきます”
母の写真に向かって手を合わせてから食事をするのが日課になりました。
大きな家具が無くなるだけで、部屋の雰囲気がガラッと変わり明るくなるのでお勧めです。
声を出すようにした
休みの日に一歩も外に出ないと、誰とも話さない日があったりします。
そんな日は、大抵メンタルがどん底です。
母の闘病中の事を思い出しては、自分を責めたり不安になったりの繰り返し。
私はそんな頭の中の闇が溜まる前に、声を出す事を心掛けて今でも実行しています。
独り言でも良いんです。
遺影の母に“今日も良いお天気だね”
飼い猫に”今日は何味の缶詰にする?”
洗濯機の終了音がなったら”ありがとう。すぐ取りに行くよ”
最近はグーグルホームが良い話し相手になってくれています。
”OKグーグル。今日はどんな日?”
と話しかければ、その日の出来事や過去にどんな事があったのか教えてくれますよ。
もちろん、しりとりやクイズで会話も楽しめます。
天涯孤独になってからの生活
生活費を把握するところからのスタートだった
恥ずかしい事に、私は全ての家計管理を母に任せていました。
- 水道光熱費や食費が月にいくらかかるのか
- 住宅ローンを一人で払い続けられるのか
- その他備えておくべきお金は?
お金の心配を始めたらキリがありませんでした。
月の支出を把握する為に買い物のレシートを全て取っておいて家計簿をつける事に。
3ヶ月ほど続けたところ、このままの使い方では破綻確実でした。
頼る人がいないのですから、自分でなんとかするしかありません。
具体的に試したのは以下の方法です。
- 食費、水道光熱費等の生活費の予算を決めて超えないように暮らす
- 積立保険を解約する
- 住宅ローンを借り換えして、ローン残高と月々の返済額を減らす
これだけでも、随分と家計が明るくなりました。
家族のいない私にとって、私にもしもの事があっった時の補償は不要です。
満期前だったので返戻金は元本割れとなりましたが、月額2万円近くも削減する事ができました。
家事は頑張るのではなく家電に頼る
母に任せきりだったのは家計管理だけではありません。
食事・洗濯・掃除。
全ての家事も母に頼りきっていました。
お肉の焼き時間、洗濯洗剤の量。
何をするにも調べないと解らないので時間がかかり、週末は家事で終わっていました。
そんな生活に疲れた私が決めたこと。
それは
- 頑張らない事
- 一人だからこそ”家電に頼る事”
です。
食事について
私は基本的に自炊派です。
仕事がある平日が少しでも楽になればと、作り置きに挑戦した事もありました。
結局、あればあるだけ食べてしまうので週の後半にはストックが無くなる始末。
週末の時間が無駄に思えて作り置きはやめました。
そこで毎日の食事はその都度電子レンジにお任せする事に。
当時はルクエというシリコンスチーマーを愛用していました。
お肉やお魚と野菜を切って入れるだけ。
わざわざ本を買わなくても、私には付属の冊子に掲載されているメニューで充分でした。
火を使わなくても簡単に美味しい料理ができるので、私のような料理初心者さんにお勧めです。
掃除について
ホコリでは死なないと言っても、居心地の悪い部屋では暮らせません。
以前は掃除機を使っていましたが、溜まったゴミのメンテが面倒なので手放しました。
代わりにブラーバという床掃除専用の掃除機を購入。
これが腰痛もちの私にとって神アイテムとなりました。
専用のパッドでカラ拭きはもちろん、水拭きも可能です。
ラグマットは全て処分して、床に物を置かないようにしたら毎日の掃除が断然楽になりました。
平日はクイックルワイパー、週末はブラーバで念入りに水ぶきすればいつでも清潔です。
トイレ・キッチン等の水回りは使う度にササッと拭くだけ。
その他の場所については気になったら掃除する。
部屋全体が完璧でなくても、そこそこで良しとしました。
洗濯について
二層式の洗濯機はコンパクトで良いのですが、毎回洗濯物を干さなければいけません。
干すのも、畳むのも面倒なので洗濯は週末だけと決めました。
母がしていたように、お天気の良い日はベランダに干して、雨や曇りの日だけ浴室乾燥室を使用していました。
ある夏、洗濯物に止まるセミに気付かずに取り込んでしまい、とても怖い思いをしました。
それ以来、外干しはやめて浴室乾燥室一択に。
お天気を気にしなくて良いし、取り込み不要、そのまま吊るしておく事もできます。
もっと早くこうすれば良かったと、少しだけセミに感謝した経験でした。
遺品整理から断捨離に目覚める
遺品整理は母の存在を消していくようで中々手がつけられませんでした。
そうは言っても、私がやるしかないし業者に任せるのにも抵抗がありました。
下着等、他人の目に触れさせたくないものから処分を始めました。
一つ手にとっては、心を鬼にして処分する。
とても辛い作業の繰り返しでした。
母の遺品整理をしながらハッとしました。
“私が死んだら、第三者がこの作業をするんだ”
人は生きていればそれなりの物を持っています。
当然、死んでしまえばあの世に持って行く事はできません。
“物を持ちすぎてはいけない”
そんな時に断捨離という言葉を知ります。
思い切って受講した整理収納アドバイザー講習を機に私の持たない暮らしが始まりました。
天涯孤独になって変わったこと
健康第一と心得る
天涯孤独の私が最も恐れている事。
それは病気になる事です。
- 買い出しをしてくれる家族なし
- 看病してくれる家族なし
- 大丈夫?と心配してくれる家族なし
だからこそ、健康管理には気をつけるようになりました。
当たり前の事しかしていませんが、以前より寝込む事がなくなりました。
具体的には
- 人込みにはいかない。行く場合はマスクをする。
- 7時間以上睡眠をとる
- 一日1万歩以上歩く
- 炭水化物控えめ、野菜とタンパク質中心の食事
です。
炭水化物は平日のお昼だけ。
根菜以外の野菜を一日に必要な摂取量350gを必ず摂るようにしています。
食事を見直してからは、体重が8k落ちました。
お陰様で毎日お酒を飲んでいますが、増えることなく維持できています。
テレビをみなくなった
テレビを見なくなりました。
きっかけは、母が生前いつも見ていた朝番組で流れるオープニングテーマを聴くのが辛かったからです。
試しにテレビをつける習慣をやめてみたら、全く問題ありませんでした。
世の中のニュースはアプリで充分です。
YOUTUBEなら自分が欲しい情報だけを手に入れることができます。
それでも数年は好きなテレビ番組を録画してみていましたが、それも面倒になってやめました。
笑顔を心掛けるようになった
笑顔を心掛けるようになりました。
理由は偏見や誤解を持たれたくないからです。
私が天涯孤独だと知ると過剰に同情する人がいます。
会話の中で家族の話題が出ると話を広げないようにしたり、老後に備えて結婚した方が良いと執拗に勧めてきたり。
“面倒な頼まれ事をされるかもしれない”と離れていった友人もいます。
私は人と比べて特別に不幸だと思っていません。
悩み事を相談する事があっても、人をまきこんだり迷惑をかけるような内容ではありません。
最後は全て自分でなんとかしています。
“寂しくて可哀想な人”
これが天涯孤独のイメージなのでしょう。
そんな事は気にせず接してくれる人がほとんどですが、そうでない人がいるのも事実です。
だから私はいつも笑顔でいる事にしました。
笑っていれば周囲に悲壮感を与えず、不要な偏見や誤解を持たれずにすみます。
大事なのは口だけで笑わない事。
目が笑っていないと、愛想笑いだと思われてしまうので気をつけています。
選択肢を減らした
生活の中の選択肢を減らしました。
理由は重要な事の判断を誤らないためです。
ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人は一日に最大3万5000回もの選択をしているのだそうです。
日常生活の些細なことから、人生を変えるような大事な事まで膨大な数です。
私は全ての選択を自分自身で決めなくてはいけません。
仕事や人生の重要な場面だけに決断力を発揮できるようにした事。
それは毎日必ず行う事の選択をなくす事でした。
具体的には
- 服の数を減らして毎朝の服選びをやめる
- 食事をパターン化して献立に迷うことをやめる
- 一日の行動をルーティン化。同じ時間に同じ行動をする
毎日のことなので、これだけでも日常生活の中での小さな決断にかかるエネルギーを節約して、重要な選択に集中することができるようになりました。
具体的な服の減らし方はこちらをご覧ください。
【持たないくらし】服を減らすと良いこと。服の減らす方法。
天涯孤独になって10年。不幸ではないと思える理由
天涯孤独は孤独ではない
「天涯孤独」と「孤独感」は似ているようで、微妙に異なる意味を持つ言葉です。
私は天涯孤独ですが、孤独感を感じた事がありません。
もともと単独行動が好きな事もあると思います。
“少しだけどお家で食べてね”
ジムの会員さんがくださるおかずのお裾分け
“今日は早いのね”
会社帰りに寄るスーパーの店員さんの笑顔
私の周りにはいつも丁度良い距離感の人達がいました。
だから私は寂しいと感じる事なく生きてこられたのだと思います。
自分自身も相手への気遣いを忘れないようにしています。
天涯孤独でも、居心地のよい人間関係があれば孤独感を感じる事はありません。
悲しい事はもうおこらない
一人っ子の私にとって、母はたった一人の家族でした。
最後の家族をなくした天涯孤独の私には、もう悲しい別れは訪れません。
病気や介護の心配も不要です。
自分の事だけ考えていればよいのです。
私は10年前の悲しみを二度と味わいたくありません。
だからこの先もずっと家族は持たずに生きていこうと思います。
不安な事は知識とお金でほとんど対処できる
生きていれば悩みや不安は山ほどあります。
- 病気になったらどうしよう
- 物価が上がり続けて生活していけるのかしら
- 孤独な老後を想像すると不安で眠れない
お金だけでなく、常に最新の情報を調べて備えておけば不安になることはありません。
例えば天涯孤独にとって心配な事の一つに入院時の保証人問題があります。
入院や手術をする場合、病院から保証人を求められます。
家族がいれば、両親・兄弟のような身内に頼むのが一般的です。
保証人には、お金を支払えなくなった時の支払い義務だけでなく、万が一の時の遺体引き取り義務も含まれるので友人や知人には頼みづらいわけです。
それでは保証人を頼む家族がいない天涯孤独の人は入院できないのでしょうか。
答えは保証人がいなくても入院は可能です。
なぜなら保証人がいないだけで入院を拒否してはいけないと法律で定められているからです。
「診療に従事する医師は診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
厚生労働省ホームページより引用
他にも身元保証サービスを利用するという手段もあります。
身元保証サービスとは、入院時の保証人や緊急連絡先になってくれるサービスです。
保証人代行以外にも、老後の日常生活のサポートや死後の手続き等もお願いできます。
デメリットは費用が約30万から50万程かかる事。
それでもお金で不安から解消されるのであれば、こんなに心強いサービスはありません。
身元保証サービスは多くの企業が取り扱っていますので、前もって自分にあったところを探しておくと良いと思います。
不安や悩み事があったら、まずはグーグル検索してみましょう。
グーグル先生はいつでも悩みのほとんどを解決してくれます。
事前に知識や情報を知り対策しておけば、いざとなった時に慌てる事はありません。
身元保証サービスについての詳細はこちらをご覧ください。
【必見】入院も老後も怖くない!天涯孤独の強い味方身元保証サービスについて
時間が解決してくれた
私は死ぬことが全く怖くありません。
死ねば再び母と会えると思っているからです。
でもそれは”死にたい”と思っている事とは違います。
天涯孤独になったばかりの頃は、早く死んで母の所にいきたいと本気で思っていました。
自分だけが生きていることの罪悪感。
そしてたった一人だけで生きていくことの不安。
それを少しづつ解決してくれたのは時間でした。
この10年で泣いてばかりの一人っ子が随分と強くなったものです。
今の自分ならこの先の人生もなんとかなるんじゃないかと思っています。
昨年、念願だったリフォームをしました。
変わったのは自宅が苦しい場所でなくなった事。
生まれ変わった我が家で、今でも毎日母の遺影に話しかけています。
私は天涯孤独でも変わらぬ日常に感謝しながら幸せな毎日をおくっています。
“母が生きるはずだった人生を私が生きている”
そう思って楽しい人生にしていかなければいけないと思っているし、そうなると信じています。
私だけの守り神である母がいつでも空から母が見守ってくれているのですから。
天涯孤独が不安な方へ
最後迄お読みいただきありがとうございました。
この記事は母を亡くして天涯孤独になった10年前の自分に伝える気持ちで書きました。
“今は不安だけど10年後には逞しくなったあなたが頑張って生きているよ”
と。
冒頭のヤフー知恵袋で同じ境遇の仲間を探した時の事を書きながら、今もどこかで同じように深い悲しみと不安な毎日を送っている誰かがいるのではないかと思いました。
“天涯孤独の先輩として何かしてあげられる事はないか”
できることなら肩を抱いて”大丈夫だよ”と言ってあげたい。
そんな思いで私の体験談をお伝えする事にしました。
私とは環境や状況が同じでない方もいらっしゃるでしょう。
それでも、私の体験を読んで頂く事で少しでも皆さんの心を軽くするきっかけになれば嬉しいです。